競争の激化するゴム製造現場で、生産効率と最終製品品質の最適バランスを実現するには、さまざまな要因が絡み合う。さらに複雑化する工程の中でも欠かせないのが、加硫促進剤の戦略的な使用である。特に重要なのがスルフェンアミド系遅効性促進剤であり、代表的なN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(略称:CBS)は、加工の初期段階で加硫が暴走するスコーチ現象を抑え、十分な作業時間を確保する“保険”の役割を担っている。

なぜCBSが注目されるのか。加硫反応は機械的な練り・成形工程に熱が加わることで始まり、架橋が進むことで未硫化ポリマーが高弾性体へと生まれ変わる。しかし反応が早すぎると化合物は流動性を失い、欠陥や原材料の無駄が生じる。ここで威力を発揮するのが遅効性促進剤である。CBSは低温域では抑制されていくため、混合・シェーピング・金型充てんのすべてで幅を利かせる。そして設定された加硫温度に達すると急激に活性化し、均質かつ強固な架橋を完成させる。

導入メリットは多面的だ。現場スタッフの目線では、「生産リズムの見える化」「廃棄ロスの削減」「複雑形状品の成型余裕の拡大」に直結する。エンドユーザーにとっては耐応力疲労性を備えた製品となるため、タイヤや工業用ホース、安全靴などが長期間安心して使える。この向上は高強度化ゴム配合の実現に直結し、引張強度の増大、すなわち“壊れにくさ”へ帰結する。

CBS(CAS登録番号95-33-0)の化学構造は、活性硫黄種を時間的にコントロールして放出するよう設計されており、加硫速度とスコーチ安全域を両立。加硫時には速やかな架橋が起こる一方、加工中は長いスコーチタイムを確保し粘度の変化を最小化する。この特徴は自動車タイヤ、ゴムチューブ、履物、粘着テープ、ケーブルシースといった幅広い用途の高品位生産を可能にしている。

ゴムの「弾性向上」や「耐久性向上」を目指すとき、まず検討すべきは促進剤の選択である。CBSは天然ゴム(NR)だけでなく、SBRやNBRなど主要合成ゴムとも高親和性を示すため、フォーミュレーターの選択肢を広げる。これらの高機能添加剤の安定供給に注力しているのが寧波イノファームケム株式会社だ。同社は厳格品質基準に適合する信頼できる化学品を提供し、先端ゴム材料の開発を後押ししている。

このように、遅効性加硫促進剤の導入は、現代のゴム業界の生産効率向上と高付加価値製品創出に不可欠である。CBSが示すように、化学技術革新により品質と信頼性が両立し、製品寿命を延ばす新たな基準が設定されている。