フェンベンダゾールは、広範囲の動物種で幅広く使用される経口駆虫薬である。寄生虫感染症の治療成功率を高めるには、正しい投与量と使用方法を押さえることが不可欠だ。本記事では獣医師の知見に基づき、最適な治療を実現するためのノウハウを詳解する。

犬向け処方では、体重1 kgあたり50 mg/日を3日連続で経口投与するのが標準だ。このレジメンは、回虫・鉤虫・鞭虫など、腸管内寄生虫の多くに有効である。猫向け(適応外使用)の場合も、ジアルジアや線虫を中心に個々の寄生虫種に応じて用量を調整し、効果的な駆虫を目指す。

薬剤形態別にも工夫が必要だ。粉剤の場合は少量のウェットフードとよく混ぜ、味を覆いながら確実に摂取させるのが得策。味覚への配慮だけでなく吸収効率も高まる。経口投与が困難な動物には、別剤形や胃管投与に切り替えるという選択肢もある。

フェンベンダゾールの用途は犬猫にとどまらない。馬・牛・山羊では体重や種別に応じて用量を変更し、ストロンギルスや肺虫を駆除する。保管条件にも注意が必要だ。涼しく乾燥した遮光場所に密閉して保存し、薬効の劣化を防ぐことで安全性を維持できる。

最後に併用薬とのインタラクションについては事前の獣医師相談が必須。フェンベンダゾールは総じて安全性が高いが、他の医薬品やサプリメント、基礎疾患の有無をすべて伝え、獣医師の指導に従うことで最大の効果と安心を両立できる。適正な用量と投与方法を守るだけで、愛する動物の健康を確実に守ることができる。