ゴム製品が高い耐久性と柔軟性を得るためには、硫黄や架橋剤を用いた「加硫」工程が欠かせません。そこで注目されているのが、加硫反応を飛躍的に高速化するゴム加硫促進剤です。この促進剤によって加硫時間が短縮されるだけでなく、ゴム製品の強度・弾性・耐老化性も格段に向上。高効率生産と品質向上の両立を可能にする要であると言えます。

代表的な促進剤の一つがCDD-80GE（化学名：銅ジメチルジチオカルバミド）。天然ゴム（NR）、スチレンブタジエンゴム（SBR）、ニトリルブタジェンゴム（NBR）、イソブチレンイソプレンゴム（IIR）、エチレンプロピレンジエンゴム（EPDM）など、広範なゴム種に対して高速硬化性能を発揮します。加えてチアゾール系やスルフェンアミド系など従来の促進剤と併用することで相乗効果が生まれ、加硫効率のさらなる向上とともに「スコーチ時間」の確保という観点から加工安全性が高まります。スコーチ時間とは、加工工程で早期架橋が起き、ロットを報告するリスクが生じるまでの猶予時間です。

現場ニーズに応えた設計も見逃せません。CDD-80GEはゴム中への分散性に優れ、かつ飛散性粉じんを発生させない形状で供給されるため、作業環境の安全性確保と労働衛生の観点からも高く評価されています。厳格化する環境・健康規制を見据える企業にも、導入ハードルは低くなっています。

加えて、CDD-80GEは汚染・変色しにくいため、ダークカラーの電線・ケーブル、工業部品、粘着テープ、各種加圧成型製品など、外観品質が重要な用途にも安心して使用できます。今後も、高機能・高付加価値ゴム製品を生み出すためには、CDD-80GEのような専用添加剤の開発・応用が欠かせないでしょう。