電気・電子工学の世界では、電流を確実に遮断できる材料の選択が安全と性能を左右する重要課題です。ポリ塩化ビニル(PVC)はコストと加工性のバランスが優れ、ワイヤーやケーブルの被覆材として広く用いられますが、柔軟性を持たせるためには可塑剤が欠かせません。ここで注目されているのが、従来剤と比べて絶縁性能が飛躍的に高いフタル酸ジオクチル(DOTP)です。

高分子材料の絶縁性能とは

絶縁とは、材料内部を電流が通過するのを妨げる能力を指し、ボリューム抵抗率や誘電耐力で評価されます。ボリューム抵抗率の高いほど漏れ電流を抑え、誘電耐力が大きいほど高電圧が加わっても破壊されにくくなります。可塑剤の種類によってこれら数値は大きく変わるため、適切な選択が求められます。

DOTPの圧倒的な優位性

一般的なDOP(フタル酸ジオクチル)と比較し、DOTPは次のように電気特性を大幅に改善します。

  • 高ボリューム抵抗率: DOTP は DOP の10~20倍のボリューム抵抗率を示し、同剤を配合したPVCは電流の漏洩を極めて抑えます。この差は安全規格の厳格化が進む中で DOTP を「事実上のスタンダード」と位置付ける背景となっています。
  • 優れた熱安定性: 70 °C~90 °C の高温環境でも可塑効率と絶縁性能が維持されるため、エンジンルームや太陽光発電ケーブルなど過酷な条件下でも長期信頼性を確保できます。
  • 低揮発性と耐久性: DOTPは分子量が高く揮発しにくいため、経年による可塑剤ロスを抑え、ケーブルの寿命を延長します。

これらの特性により、DOTPは下記製品群で圧倒的な採用率を誇ります。

  • 建築・車載ワイヤー: 高可撓性と優れた耐火性・絶縁性を両立
  • 自動車ハーネス: 振動・熱に耐える信頼性向上を実現
  • 家電製品電源コード: 小型化と発熱をカバーする高絶縁レイヤーを提供
  • 高温対応特殊ケーブル: 半導体製造装置や産業用ロボット向け高仕様品

安全・高性能化を先導する可塑剤選択

厳格化する国際安全規格に対応するには、性能面だけでなく RoHS 指令などの環境基準もクリアする必要があります。DOTP は環境負荷物質を含まず、耐久性も高いため規制先進国を含めて採用が加速しています。寧波イノファームケム株式会社は、独自精製工程で不純物を極限まで除去した高純度DOTPを安定的に供給し、世界の電線メーカーに選択される存在となっています。DOTPを採用することで、製品の安全性・信頼性が確保されるとともに、先進市場での競争優位性も獲得できます。