ツヤ・指通り・まとまりを一挙に手に入れてくれるシリコーン。ヘアケア業界では「スタンダードな効果」として知られています。その中でも最もよく使われるのが、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)とジメチコンです。どちらもコンディショニング効果で高く評価されますが、配合製品による仕上がりは異なるため、それぞれの「個性」を理解しておくと製品選びがグッと簡単になります。

D5は揮発性の高い環状シリコーン。軽やかで揮散スピードが速いため、髪に塗布した瞬間にシルキーな肌触りをもたらし、べたつきを残しません。その特性はヘアスプレーや軽めコンディショナー、スタイリング剤など、'さっと仕上がる'製品を作る際の要となります。また、一時的な通気性フィルムを髪一本一本に形成し、絡まりや広がりを抑えてツヤを演出する効果も実証されています。

一方のジメチコンは、線状で揮発しにくい構造を持ちます。そのため毛表面に長く留まり、キューティクルをシールしながら保湿効果を高め、ドライヤーやアイロンなどの熱ダメージや紫外線・大気汚染などの外的ストレスから髪を守るバリアを形成。ダメージケアやストレートケア向けのリッチなコンディショナー、リーブイン処方に好まれ、持続的ななめらかさと保護効果を狙えます。一言でいえば、'瞬間効果'を求めるならD5、'長続きを重視'するならジメチコンという配分です。

製品開発の現場では、「使い心地を優先するのか」「ダメージケアを重視するのか」という用途ごとの設計指針が明確にされています。D5は軽やかなテクスチャー・速乾性・フィニッシュの軽さを、ジメチコンは密着・被膜・しっかりまとまる質感をそれぞれ担うことで、消費者ニーズに幅広く応えています。

さらに近年は持続可能なシリコーンの開発も進み環境負荷軽減を見据えた形で高機能を実現する潮流に。D5とジメチコンは、いずれも美容化学の進化を象徴する素材であり、頭髪の健康と見た目の美しさを真に高める選択肢として、今後も欠かせない存在になりそうです。