スチレン・ブタジェンゴム（SBR）は、合成ゴムの中でも万能選手として幅広い産業で活用されているエラストマーです。その秘密は、二つのモノマーであるスチレンとブタジェンを組み合わせることで自在に特性を調整できるコポリマー構造にあります。この配合比と重合方法によって、タイヤから工業用品まで、あらゆる用途に最適化されたSBRグレードを製造できるのです。

SBRに硬さを与えるベンゼン環を持つスチレンと、ゴムらしい柔軟性・低温柔軟性を付与する共役ジエンのブタジェン。一般的にスチレン含有量が上昇するとゴムは硬くなり、引張強度・耐摩耗性が向上。逆にブタジェン比率を高めると高反発・耐寒性に優れる柔軟な材料に仕上がります。

代表的な製法は「エマルジョン重合（E-SBR）」と「溶液重合（S-SBR）」の二つ。エマルジョン法は水と乳化剤中でラジカル開始剤を用いるため、枝分かれした高分子の集合体となり、汎用性が高くコストも低いのが特徴。国内タイヤのほとんどがこの方法でつくられるE-SBRをベースに採用しています。

一方、溶液法は溶媒中で有機リチウム等のアニオン開始剤を用いて重合する精密製法。分子量分布を狭くし、枝分かれを抑えることでウェットグリップ向上と転がり抵抗低減という相反する性能を両立。低燃費タイヤや高性能コンパウンドに求められるS-SBRはこの製法で生まれます。価格は溶液法の方が高くなりますが、用途に応じて選択が可能です。

得られる特性として、優れた耐摩耗性は自動車タイヤや搬送ローラーへの採用理由。引裂き強度や曲げ疲労性にも優れていますが、油分・オゾン・気候への耐性は低く、ハロゲン添加や保護被覆などの工夫が必要です。そのため実使用環境を見極めたうえでSBRグレードを選定することが成功の鍵となります。

素材選定の際は、使用温度域、化学物質暴露、要求される機械的特性を総合的に評価。コスト効率が高い一方で弱点もあるSBRは、配合設計やブレンド材料の選択で弱点を補完することが可能です。

寧波イノファームケム株式会社では、汎用から高性能向けまで幅広いSBR製品と技術サポートを提供。標準的なE-SBRだけでなく、S-SBR系の特殊グレードについてもご相談ください。価格や技術資料のご要望はお気軽にお問い合わせください。