勝負が決するスポーツの世界で、アスリートは常に「１％の差」を求め続けている。数多くのサプリメントの中でも、非必需アミノ酸として注目を集めるL-シトルリンは、パフォーマンス強化における“ゲームチェンジャー”の呼び声が高い。体内で一酸化窒素（NO）への変換を促進し、血管拡張と血流量アップをもたらすメカニズムが、持久力向上から筋回復のスピードアップまで、総合的なアスリート強化に直結している。

L-シトルリンは本来、体内で生成されるアミノ酸だが、サプリメント摂取により血中濃度を飛躍的に高められる。摂取後にL-アルギニンへと変換され、NOの産生量が増加。血管が弛緩・拡張し、運動時により多くの酸素と栄養を筋組織へ届けることができる。その結果、限界までのハイレップ、より重いウェイトの追加、質の高いトレーニングボリュームへの到達が現実味を帯びる。また、NO増加による“マッスルポンプ”の達成感は、モチベーション維持にも寄与するという側面も見逃せない。

ワークアウト中のパフォーマンス向上だけでなく、L-シトルリンの真価は“運動後”でも発揮される。改善された血流はダメージを受けた筋繊維への栄養輸送を加速し、筋修復と翌日の筋痛軽減へと繋がる。つまり「速いリカバリー＝頻度の高い高品質トレーニング」を可能にするのだ。実用面では高純度のL-シトルリン粉末が手軽で経済的で、プレワークアウト・シェイクやプロテインに混ぜるだけで継続的に取り入れられる。

現在の研究ではアエロビック・トレーニングへの効果には一部議論もあるが、力強い瞬発系・短期高強度インターバルに対しては明確な恩恵が示されている。パワーリフティングからHIITまで幅広い分野で活用事例が増加している。また、スマートフォンやウェアラブル端末でリカバリータイムも可視化できる時代に、L-シトルリンの導入はより「計画的なパフォーマンス向上」の一助となる。ただし個々の体質やトレーニングレベルに応じた推奨摂取量は医療・栄養の専門家と相談のうえ決定することが推奨される。