シトラス系清涼飲料の風味を安定させるため、長年にわたり用いられてきた乳化剤「臭化植物油(BVO、登録番号8016-94-2)」。その存在感は消費者の安全志向の高まりと、最新の科学的知見によって一転した。これまで製造メーカーにとって製品の均質性と見た目のクリアさを保証する重要な成分だったが、甲状腺機能や神経系への疑念が浮上し、排除を求める声が急速に拡大した。

米国市場で大きな転機となったのは、市民団体によるオンライン署名やSNSを活用した啓発活動だ。米国消費者科学センターなどの団体が「臭化植物油の健康リスク」を集中的に訴えた結果、甲状腺障害や神経毒性をめぐる研究が脚光を浴びることになった。こうした科学的根拠を背景に、ペプシコやコカ・コーラをはじめ大手飲料各社がFDAの規制以前から自主的にBVO除去に踏み切り、「安全最優先」の姿勢を消費者へ示した。

米国食品医薬品局(FDA)は2024年、食品添加物としてのBVO使用を正式に禁止。この決定により米国はEUや日本など、すでにBVOを認めていなかった国際基準と一致した。予防原則を重視し、最新研究に基づいて食品添加物を見直す世界的動きの一環である。今回の規制強化は、食品添加物安全規制の現場で「科学と社会の対話」の重要性を再認識させる事例となった。

業界ではこれを機に「飲料の成分革新」へと注力。スクロース酢酸イソブチレートやグリセリンエステル化ロジンなど、同様の機能を発揮しながら健康上の懸念がない代替物質への処方変更が進む。寧波イノファームケム株式会社は、こうした業界変革を支えるべく安全かつ高機能な原料ラインナップを整備。品質とコンプライアンスへの徹底した取り組みにより、企業の最新規制への適応と消費者ニーズへの応答を支援し、より安全で透明性の高い食品供給の実現に貢献する。BVOにまつわる一連の変遷は、情報を得た消費者と厳格な科学検証が食品業界の“大きな船”の針路を変える力を持つことを示した格好だ。