世界各国で「清浄ラベル」への志向が高まる中、食品メーカーは合成保存料に替わる天然由来の抗菌手段を急務としている。卵白由来の酵素『リゾチーム粉末』は、そうしたニーズに応える実績豊富な次世代保存材として注目を集めている。

リゾチーム(化学名:N-アセチルムラミドグリカンヒドロラーゼ)は、グラム陽性菌の細胞壁ペプチドグリカンを加水分解する作用を持つ。簡単に言えば、腐敗菌の『外壁』を破壊し、増殖そのものを止める仕組みだ。このため、チーズやヨーグルトのカビやブロー現象を抑えるだけでなく、パンやスイーツの「焼き上がり後の老化」を遅らせる効果も期待できる。

最大の利点は「卵白から採れる天然成分」という点。EUでは添加物番号E1105としてGRAS(広く安全性が認められている)に位置付けられており、食品用防腐剤としての世界的信頼も厚い。

実用シーンは多岐にわたる。

  • 乳製品:カビバリーダーの抑制と凝乳の滑らかな食感向上。
  • パン製造:生地の扱いやすさ改善と、モールド発生までの余裕日数拡大。
  • 食肉・水産:冷蔵・冷凍保存時の臭み防止と表面細菌コントロール。
  • 酒類:ワイン・日本酒などにおける野生乳酸菌の抑制と清澄助剤。

実際に製品に配合する際は、対象食品のpH、加熱温度、初期微生物数を見極める必要がある。効果を最大化できる領域は弱酸性~中性で、推奨添加量は0.005~0.05%程度ときわめて微量。既存処方を大きく変えることなく導入が可能だ。

消費者の”安心・安全”要望は今後ますます高まる。天然由来でありながら保存性能を確実に高められるリゾチームは、食品企業がクリーン&グリーンブランドを構築するうえで欠かせない切り札となるだろう。