過剰な線維性結合組織蓄積を特徴とする線維症(フィボーシス)は、臓器の機能低下や不全につながる病態の要因です。そんな中、ポテンシャルの高い天然化合物であるテラスティルビン(PTS)が、肝臓や腎臓など複数の組織で抗線維化作用を示し、革新的な治療アプローチとして注目されています。

最新の研究によると、PTSは肝線維化モデルにおいて毒素による損傷を緩和し、上昇した肝酵素値を低下させることが確認されています。その鍵は線維化の進展で細胞外マトリックス(ECM)生産の主役となる肝星細胞(HSC)を直接標的にした作用にあります。

テラスティルビンが作用するもう一つのハブとなるのは、線維化プロセスの司令塔「TGF-β1/Smad経路」です。この経路は上皮―間葉転換(EMT)やECMの過剰蓄積を促進することで知られますが、PTSはこの経路を抑制することで肝および腎における線維化を効果的に抑えることが示されました。さらに、PTSは隣接する複数のシグナルネットワークも調節しており、それらのシナジーが臓器保護効果を高めていると考えられます。

抗炎症機能もPTSの抗線維化能力を支える要素の一つです。慢性炎症は線維化進行の火付け役であるため、PTSの炎症性メディエーター抑制作用も臓器の恒常性維持に寄与します。さらに、アポトーシスやオートファジー関連経路への影響により、組織の再生・修復バランスが保たれ、線維化の進行を防ぐメカニズムも示唆されています。

以上のように、肝・腎線維化モデルで実証されたテラスティルビンの抗線維化ポテンシャルは、線維症に対する自然派ベースの新規治療戦略として期待される傍証です。今後の臨床応用に向けた研究が進展すれば、線維化による臓器障害の進行遅延、さらには修復への道筋が開ける可能性があります。