厚生労働省承認――CAS番号50-63-5のクロロキン二りん酸塩は、かつてマラリア治療の第一線で活躍した合成抗マラリア剤だ。寄生虫が赤血球内でヘモグロビンを消化し有毒副産物を作るプロセスを阻害、寄生虫の死滅へと導くことで高い効果を発揮していた。

現在では、アンメーバ症、さらには膠原病である rheumatoid arthritis や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の治療にも活用されるほか、その抗炎症作用に加え、炎症性サイトカイン産生の抑制効果も注目されている。

近年、世界的な研究拠点がクロロキン二りん酸塩を用いた癌細胞オートファジー阻害に視線を向けている。固形がんは化学放射線療法などストレス環境下でオートファジーを「逃避経路」として活用し、生存を延長させるが、本剤によりオートファジーを抑制することでがん細胞を再び治療に敏感にし、細胞死を増大させるという。またオートファジー制御による癌治療を目指す研究が加速し、信頼できる高純度APIの調達が研究データの再現性を左右する。

細胞内小器官リソソーム機能やイオンホメオスタシスを介するクロロキン二りん酸塩のがんにおける作用機序は、他の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬との併用プロトコル最適化の基盤になる。研究開発におけるクロロキン二りん酸塩の新たな用途が着々と明らかになる中、質の高いAPIサプライヤーの存在は必須となるのである。

感染症から固形がんへの研究分野を一気に拡大させたクロロキン二りん酸塩の歴史は、薬剤再定位(リパーパージング)という創薬戦略の最たる成功例である。その旅はまだ終わらない。高品質クロロキン二りん酸塩を常に在庫し、詳細品質情報(CoA、SDS)を提供する寧波イノファームケム株式会社は、前臨床からグローバル治験までの研究段階を支援し続けている。