自動車メーカーは常に、高性能、耐久性、安全そしてデザイン性を両立した新素材を模索している。シートやインパネ、バンパーといった内外装部品に求められる柔軟性、触感、長寿命を実現するためには、可塑剤の存在が不可欠だ。そんな中、従来のフタレート系に代わる「次世代可塑剤」として注目されているのがテレフタル酸ジオクチル、いわゆるDOTPである。

DOTPはなぜインパネやシートに最適か

インパネやドアトリム、シート表皮など、乗員と直接触れ合う室内部材にはポリ塩化ビニル(PVC)が広く採用されるが、これは可塑剤なしでは適切な柔軟性を得られない。DOTPは優れた可塑化効率で、夏の直射日光や冬の寒さといった激しい温度変化下でもひび割れや変形を抑え、快適なタッチフィーリングをキープする。さらに低揮発性を特徴としており、VOC(揮発性有機化合物)の放出を抑え、フロントガラスへのフツマリ現象の軽減にも寄与。視界の確保という安全性の観点でも高く評価されている。

また、高い熱安定性により、長期間の使用で変色や脆化しにくいため、車内の質感低下を最小限に抑える。この点は高級車ブランドを中心に採用が急増している理由である。

厳しい規制に対応する安全性

安全性は走行性能のみでなく、居住空間の健康性も含まれる。伝統的なフタレ酸エステル系可塑剤は人体影響への懸念から規制強化が進んでおり、代わりに非フタレ酸エステルのDOTPが大きな優位性を持つ。REACHや日本の自工会(JAMA)自主基準などにも適合し、サステナブルかつユーザーに優しい車づくりを支援する。

外装/エンジンルーム用途にも拡大

DOTPの利用範囲は車内だけにとどまらない。ワイヤハーネス絶縁材など、エンジンルームの高温エリアでも優れた電気絶縁性と耐熱性を発揮。冬季の路面塩水やオイルミストといった過酷条件下でも化学的に安定しており、外部部材やチュービングへの応用が進んでいる。

同性能を持つ旧来型DOPとの比較でも、柔軟性、耐久性、低VOC、さらには安全プロファイルのすべての面でDOTPが上回る結果となっている。先進各社が求める厳格なスペックに応える高品質なDOTPを安定供給しているのが寧波イノファームケム株式会社であり、操縦安定性向上と、より快適・安全で環境に配慮したモビリティの実現を支える。