コカミドプロピルベタイン（以下CAPB）は、高い起泡性と刺激低減効果を両立した両性界面活性剤として、シャンプーからボディウォッシュ、洗剤まで幅広く採用されています。ただし高機能を引き出すには、濃度・pH・相性という3つの要ポイントを押さえる必要があります。以下、研究現場で培われた処方ノウハウを紹介します。

1. 配合濃度：効果とコストのバランス
市販シャンプーやボディソープでは、アクティブベースとして5～15%が“効き目”と“使い心地”のベストレンジです。ベビー製品では15%前後、業務用洗剤のように“泡立ち”と“洗浄力”を極める場合は30%まで増量できます。少量では補助的に泡を整えるだけなので、狙いに応じたリミット濾過濃度を設定してください。

2. pH管理：スキンケアの鍵
CAPBが最も活躍するのは、pH 4.5〜7.0のやや弱酸性～中性域。この帯ではケラチンとの親和性が高く、皮膚タンパクの変性を抑えながら汚れを浮かせることができます。乳酸やクエン酸を数滴加えるだけでも刺激性が大きく変わるので、ミリ単位のpH調整には万全を期してください。

3. 相性：SLS/SLESと相乗効果を作る
CAPBはアニオン系（例：ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na）、ノニオン系、アミン系のどれとも協調します。特にアニオンと併用すると、泡の弾力・粘度を底上げし、頭皮への刺激を約30%軽減させるデータも。希塩水での粘度上昇効果も確認されているため、塩分濃度をチューニングすれば無添加シャンプーのようなニュアンスのある感触にも仕上がります。

4. 高純度グレード選びの心得
未反応アミドやジメチルアミンなどの不純物は、皮膚感作リスクを高めます。信頼できるサプライヤーからアクティブ含有率が30%以上で不純物が最小限に抑えられた医薬グレードを調達することが、安全性確保の第一歩です。必ず最新版SDSを確認し、保存温度（通常25℃以下）を守ることで劣化を回避できます。

まとめ：CAPBを味方にする最後の一手
CAPBは単なる“泡立ち補助剤”ではありません。適切な濃度設定、pH管理、相補的な界面活性剤との連携、そして高純度原料の確保を満たせば、敏感肌や乳幼児製品にも採用できる“本物の”温和な処方を実現できます。これらの要素を勘案し、パッチテストと実使用テストを組み合わせることで、安全性と高機能を両立した製品開発が可能です。