カルボキシメチルセルロースナトリウム（以下、CMC）は、医薬品からパーソナルケア製品まで安全面で最優先に選ばれる多機能賦形剤です。無毒性、非刺激性、低アレルゲンという特性により、皮膚や粘膜に直接触れる製品への採用が広がっています。

医薬品では、錠剤のバインダー、崩壊剤、増粘剤として欠かせません。錠剤の硬度を均一に保ち、薬物放出特性を調整する役割を果たします。医療応用では人工涙液に配合される潤滑剤としても有名で、乾燥した目の保湿と緩和を支援します。また、生体適合性とゲル化能力が評価され、注入型の軟組織フィラーや創傷被覆材としての開発研究も進んでいます。

パーソナルケア分野では、既存の化粧品のうち50％以上にCMCが配合されています。粘度調整剤としてクリーム・ローション・シャンプーのテクスチャーをきめ細かく制御し、ヘアケア製品ではコンディショニング効果と絡まり防止を実現します。また、歯磨き粉では粘弾性を整え、有効成分を均一に保持します。これらの敏感な用途には製薬グレードの高純度CMCが求められます。

そのほか日やけ止めでは皮膜形成剤として機能し、メイクアップ製品では顔料の分散・浮遊を安定させる役割を果たすため、色ムラを防ぎ製品性能を向上させます。さらに水分保持力が高く、スキンケア製品における保湿効果への貢献も見逃せません。今後の処方開発においても、CMCの多彩な機能は高品質かつ安全な医薬・化粧品づくりを強力に支える存在となるでしょう。