L型アミノ酸トランスポーター1(LAT1、遺伝子名SLC7A5)は、大きな中性アミノ酸を細胞膜を越えて輸送する重要なタンパク質である。近年、LAT1は多くの癌細胞で過剰発現することから、がん研究分野で大きな注目を集めている。その発現増加は細胞の増殖、生存能の向上、そして薬剤耐性の獲得と深く関与している。そこで、LAT1の働きを詳細に解明し、標的とする新規治療法の開発が急務となっている。

寧波イノファームケム株式会社は、LAT1阻害剤の治療応用可能性を先駆けて検討している。その最有力化合物の一つであるJPH203(一般名:ナンビュランレート)は、初期データからすでに高い治療ポテンシャルを示している。JPH203のメカニズムは、LAT1と選択的かつ高親和性に結合・阻害することで、がん細胞への必須アミノ酸供給を遮断し、栄養「飢餓状態」を引き起こして細胞増殖を抑制する。これが次世代LAT1標的治療へと広がる可能性を提示している。

効果的なLAT1阻害剤創出には、正確なLAT1トランスポーター立体構造の把握が欠かせない。最新のクライオ電子顕微鏡(cryo-EM)を用いた研究により、単一原子レベルでのLAT1構造が解明され、JPH203などの阻害剤との相互作用メカニズムが詳細に描き出された。この構造情報により、選択性・活性がさらに高まるモジュール設計が可能になる。がん治療薬開発の枠組みで、特にLAT1高発現が顕著で治療選択肢が限られる胆道がん治療への応用が期待されている。

前臨床および早期臨床試験で示されたJPH203の有効性は、LAT1標的療法の分水嶺となる可能性がある。LAT1を介したアミノ酸供給を断つことで、腫瘍増殖のみならず転移も抑制できると示唆されている。現在進行中のJPH203臨床試験は、人患者における安全性と有効性を裏付ける段階に入り、LAT1高発現がんを抱える患者へ新たな治療選択を届ける道筋を描いている。

寧波イノファームケム株式会社は、研究成果を踏まえた革新的な創薬により、患者の治療成績向上に貢献することを使命としている。LAT1という画期的標的とJPH203をはじめとする阻害剤の深い科学的理解は、今後のがん治療戦略を大きく変える基盤となるだろう。